開演前の空気が好き

舞台中心の感想置き場です。

映画『THE FIRST SLAM DUNK』 ─ザファとりとめのない感想

応援上映のために全力で作成した三井のうちわとキンブレ(減光対応済み)

 

fleurs-wisteria.hatenablog.com

 

こちらの記事の続き、というか書ききれなかった感想のメモです。
今回の記事は本当にとりとめもない個人的な感想がメインです。

↑の記事の方が内容あるのでそちらをぜひ読んでください。笑

 

とにかく長いです。一万字くらいあります……
円盤出るまで何とかしてザファ成分を吸いたい方向け。

 

 

作品概要

2022年12月3日公開

slamdunk-movie.jp

 

ご注意(再)

※バスケは詳しくないです。
※初見時は原作・テレビアニメともに未履修ですが、2回目以降は原作読破済みです。上映終了してからですがテレビアニメも完走しました。
※考察っぽい感想を書いていますが、トータル4回しか観てない上メモ取ったりもしていないのでうろ覚えだったり抜けている点もあるかと思います。ご了承ください。
(レイトショーとかで空いてるとき誰もいない端っこの席取ってメモでも取ればよかったと後になって思いました……)
※作品分析っぽい書き方もしていますが、映画畑出身ではないので映画の分析方法は存じません。ご了承ください。
(※三井の女が書いてます。)

 

※めちゃ長いです。
※以下ネタバレしかないです。

 

 

 

 

 

初見時の感想

リョータ中心の湘北バスケ部の話」ではなく、「大切なものを失った母と息子が過去を受け入れ、今と向き合えるようになるまでの物語」だと思った

初見時に一番印象に残ったのは、最終盤の仏間での回想、幼いリョータがソータに追いつき、そして高校生になったリョータがその前を行ってカオルを抱きしめるシーンでした。(試合シーンじゃなかったことに自分でも驚いた)

立ち止まったまま涙を流すことしかできないソータを見たら爆泣きしてしまいました……

ここはそのままリョータの成長を象徴しているシーンだと感じます。
2回目以降でより感想がまとまったので詳しくは後述します。

 

子供だけじゃなく大人も完璧ではなく不完全で、それを自覚したりその上で足掻いている姿を省略せず描いている

浜っ子カップ会場でソータのことを話していたおじさんたちも、ソータの部屋を片付けようとしてリョータと衝突するカオルも、ちゃんと反省したり後悔しているシーンが入っているところに脚本の細やかさと、人間というものに対する信頼を感じました。

ちなみに漫画を読んでより思いました。
トヨタマの監督が生徒相手にキレてから「相手は子供じゃないか…!!」と後悔するところとか、本当にリアル……。

 

声優さんが誰か全然分からなかった

笠間さんが出てるらしい、しかもずっと好きだったキャラクターを担当してるらしい。というのはどこかで読んで知っていたのですが、具体的にどのキャラだったかまでは映画見始めたときには覚えてなくて(確認しとけば良かったと思った)、一応誰だろう?って思いながら聴いてたものの結局最後まで誰かわかりませんでした。笑

というか、花道以外最後まで声優さんが誰か分からなくてびっくり。
割とこういう聴き分け得意だと思ってたのですが……

何でかなと思い返してみると、本当にナチュラルな演技だったからだなあと。
アニメの声というより、洋画の吹き替えに近いイメージで録ってるのではないかなと思いました。
→観たあとでresourceとかコートサイドとか読んだら納得しました。

 

なんか新垣さんの声する…?いや沖縄弁でそんな感じしてるだけか…と思ってたらまさかの主審と方言監修でいらっしゃってエンドロール中声出そうになった

これ本当にびっくりしました笑

というかまずソーちゃんの一台詞目のイントネーションがあまりにも刀剣乱舞の千代金丸で、一瞬新垣さん?って思ったのでした。
そのあと、いやこれ声が違うな…と思ったのだけど、まさか方言監修、つまりおそらくは新垣さんの声をお手本に話されていたとは……!(あながち間違ってなかったということに……)

 

刀剣乱舞の沖縄刀3振りの台詞を聞いていると、ご出身によるものなのかイントネーションの違いを感じることが以前からありました。
どの程度台詞につけるかというのもあるとは思うけど、この違いってもしかすると結構あるのかもしれないなと今回思いました。(実際どうなんでしょう)

 

2回目以降の感想

誰がカットして誰にボールが渡って誰がパスして誰がシュートしたのか、というところにドラマがあるということが分かるようになった

映画だとリョータの家族を中心に主に三井との関係性が掘り下げられているので初見時はチーム内ではそこの2人のことしか分からなかったけど、漫画も全部読むと全員分の関係性を知ることができたから、よりぐっときました……!

なお映画初見時にも、最後の流川のパスからの花道のジャンプシュートのシーンで(これこの二人のこともっと知ってたら絶対胸熱なやつだ……!!)と思いながら観ていたので、ちゃんと原作読んでから2回目観られてよかったです。

 

あと単純にストーリー大筋が頭に入った状態なので、話の流れ以外のことにも気を配ることができるようになったっていうのが大きい気もします。

 

初回よりも2回目の方がハラハラした

映画もすでに観てるし原作でもう話の流れも全部知っているはずなのに、いや知っているからこそ、漫画と試合の流れが違うところに動揺してしまって、初回観たときよりも最後勝てるのかハラハラしてしまった。

初回は、湘北が主人公なんだから絶対勝つでしょ、と信じていたからひやひやしたりまったくしなかったです(それもどうなのという見方ではありますが)。

2回目は原作での試合を何パターンも見てきて、ここでこう来られるとまずい!とか、ここで決めたい!のに決まらない……!みたいなことを知ったからこそ、よりシーンひとつひとつを噛み締められるというか、感情移入して観ることができたように思います。

 

アニメ65話くらいまで観ている状態で2回目観たけど、赤木・三井に関しては声に違和感がまったくなくてびっくりした

もちろん8月後半の半月程度でアニメ見たにわかであるというのは大きいと思いますが。
あとこれは本当に人によって聞こえ方捉え方違うと思うので、あくまで私個人の感想です。

にしても他のキャラクターは改めて聴き比べてみると結構違うな〜と思ったのだけど、この赤木と三井についてはなぜか個人的にはびっくりするくらい“違和感”がなかったんですよね……

コートサイドの記事にもあったとおり、昔のアニメを踏襲する意図はなく、前の声優さんに声が似ている人を選んだのではなくてイノタケ先生の中にある“彼ら”に合った声優さんを選んでいるのは分かっているので、印象が違うことが悪いこととはもちろん思っていないです。
こちらの2人についても別にすごく声が似ているということではないのだけど。なぜだろう……

 

Twitterでも「長年脳内再生していたのとまったく同じだった、嬉しかった」のような言葉を見かけたりもしたので、にわかの自分はともかくとして昔からのファンの方もそう感じているのは本当にすごいというかもはや興味深いことだなと思いました。

 

最後のアメリカでのシーンはいったいいつなのだろうか!という話

2人(特にリョータ)の顔つき・身体つきが山王戦時点とはまるで違っており、おそらく数年は経過していると推測できます。

また、中村記者の沢北に対する台詞「こっちに来てからはどう?」(うろ覚え)から、沢北がアメリカに来てからそこまで長い期間は経っていないことがわかります。リョータが緊張のあまりトイレにいるシーンからも、まだそこまで慣れていないことが窺えます。

以上の点を踏まえると、沢北は

「夏が終わればオレはアメリカだ」

と流川に言っていましたが、結局アメリカ行きは延期し、大学で留学することにしたのではないかと思います。(あれから10日後で描かれているのとは異なっていますが)

さらに、両者が現地のチームで試合に出ていること、チームでのあり方、体格の変化から、加入すぐというわけではなさそう。おそらく双方渡米後半年〜1年経過時点なのではないかなと個人的には思います。(と考えると時期にもよるがふたりとも19〜20歳?)

 

余談ですが、沢北へのインタビューと撮影を終えた中村記者が、相手チームの中にリョータを見つけてふたりを見ながら目をキラキラさせる描写が本当に好きです。
あれから数年経って、当時新人だった中村記者もたくさんの試合を観てきたと思うけど、そんな中でもあの湘北山王戦はきっと色褪せない記憶として彼を始めたくさんの人の心に残っているのだろうなと思うとぐっときますね……

 

「オレは誰だ……オレの名前を言ってみろ」

の前の台詞が

「河田は河田、赤木は赤木だ」

なの本当に好きだな〜と思います。
基本的に意識が常に外に向いてる男三井……
赤木を励ますというか鼓舞する言葉を無意識にかけているということがわかる台詞です。
つまり自分→他者ではなく他者→自分の順番で思考しているということ……。

ここ以外のシーンでも三井が他の湘北メンバーに声をかけているシーンは多いですが、チーム全体を良くするために今何をするべきか、どういう言葉をかけるべきかっていうのを常に考えているの、“武石中のスーパーエース“の面影を本当に感じます。

三井「オレを使え」
宮城「使えったってな…」

のシーンも同じ。宮城は明らかに体調悪い三井に困惑気味ですが……笑
三井としては自分がフリーになってそこで打つのが一番いいと判断したからそれを宮城に伝えたわけで、自分のスタミナとか体調とかは完全に二の次になっています。

もうエースとは呼ばれなくても、きっと染み付いてるんだろうな……そういう考え方と振る舞い方が……と思うと私の心の中の徳男が号泣してしまいますね……。

 

ちょっとずれるけどこの「河田は河田、赤木は赤木だ」の直前は原作だと魚住のかつらむきのシーン。
ここで魚住が

「華麗な技をもつ河田は鯛…」
「お前に華麗なんて言葉が似合うと思うか 赤木」
「お前は鰈だ 泥にまみれろよ」

と赤木に言うからこそ、それを受けて三井が

「河田は河田、赤木は赤木だ」

と言う、という流れになっています。

映画では山王戦のみなのとおそらくリアリティを重視してこの魚住のシーンを入れることはできなかったのだと思いますが、赤木が倒れたシーンからの立ち直り方が「もうひとりではない」という方向性のため、「河田は河田、赤木は赤木だ」という台詞との関連性は薄くなってしまっているなと感じました。

 

ただ、このつながりをなくしたとしても

三井「オレは誰なんだよ…」
松本「三井……!」

からの3Pを入れたかったのはわかる…!と思いました。笑
ゾンビみたいな三井に振り回される松本かわいそかわいい。

 

(ちなみに漫画読んでその続きがあったことを知ったんですが読んだとき「おうオレは三井 あきらめの悪い男…」のコマの三井のツラが良すぎてガチで鼻血出そうになりました)

 

こちらもちょっとずれますが、三井と流川のプレースタイルの対比について。

原作の翔洋戦で、相田記者に流川のバスケは自分勝手だと評されていたように(その後すぐに自分勝手なのではなくゲームを支配していると訂正されているが)、原作・映画共通して流川と三井のバスケは対照的なものとして描かれていたのではと思います。

流川は自分で切り込んで内からでも外からでも点を取りに行くタイプ、三井はチームワークが上手いタイプ。

そして三井は中学時代〜高1時点の描写でも仲間(というか取り巻きに見える)が多いですし、グレてからも取り巻きがいます。常に人に囲まれているのはそういう性であり、プレースタイルにも影響しているのだろうなと思います。
なお流川は後輩にも女生徒にも人気はあるものの対照的なほど基本ひとり行動である。

 

↑以外の三井の話

・何度でも三井の「あら」に狂わされる
漫画読んだときも衝撃でした。これで元不良だと……??
ふとしたときにチラ見えする三井寿の育ちの良さとそれを打ち消すガラの悪さが五臓六腑に染み渡ります。(原作・アニメの赤木家勉強会の電話シーンとかもそう)

 

・三井とリョータの喧嘩のシーンで膝を気にして視線を落としたときにバッシュが目に入る演出、好きすぎる。

 

・三井がバスケ部を去りグレた理由について (ちょっと長いです)

これは映画だけの感想ではないのだけど、三井がバスケ部を去るだけでなくグレてしまったのは、単純に怪我をしてバスケができなくなり、もう大丈夫と(勝手に)思ったところでまた悪化させてしまいさらにバスケができなくなったから というわけではなく、
膝の怪我を通して『自分も普通の人間である』ということに気付かざるを得なくなり、それを受け入れられなかったからこそ、バスケがその事実を突きつけてくる存在と成り果てた
から離れるという行動に出たのではと思う。

怪我が自分だけすぐに治ることもないし、自分がいなくてもバスケ部の練習は続いていく。おそらく三井にとってそれまで完全に自分を中心に回っていた世界が、どうやらそうではないと気付いた瞬間だったのではないかと……。

普通はもう少し早い段階で気付くことがほとんどだと思うけど、そうならなかったくらい環境と能力に恵まれていたのでしょう。
(高校入学時点まででもほとんどのことが自分の思い通りになっていないリョータとは対照的)

単に高1までの三井が精神的に幼かったとひとことで言えることではなく、恵まれすぎて気付けないこともある、という部分が本当に現実的だなあと……。

 

なお湘北の試合を三井がこっそり観にくるという映画で追加されたシーンがあるが、それも自分がいないことでボロ負けする湘北バスケ部を見ること、彼らを「ヘタクソ」と見下すことで、一度粉々になった自尊心をなんとか保っているシーンなのではないかなと個人的には思っています。

 

・山王戦でゴリが倒れた後の円陣のシーン

赤木「お前らとは…別に仲良くねえし」
三井「あ?」

の三井のあ?がめちゃくちゃ食い気味ですごく良い。最高

 

・「赤木がスクリーンをかけてくれる…オレがフリーになるぞ!」のところ、

「自分のために赤木がスクリーンをかけてくれる…その一瞬を逃さず宮城がパスをくれるはず…」
「落ちても桜木がリバウンドとってくれるはず…」
「という信頼── 奴は今赤んぼのように味方を信頼しきる事でなんとか支えられている……」

という海南の高頭監督のモノローグが原作を読んで大好きになったので少しでも入ってて嬉しかったです。

 

・膝にキスする三井寿をど正面から浴びれるリョーちんいいなあ……(私利私欲)

・第ゼロ感のSwish da 着火youがyou(二人称)なの本当に好き

そりゃ着火himではちょっと格好がつきませんが笑

 

リョータ中心の湘北バスケ部の話」ではなく、「大切なものを失った母と息子が過去を受け入れ、今と向き合えるようになるまでの物語」だと思った(再)

※長いです

初見時に一番印象に残ったシーン。の、続きです。

リョータが成長して、同じかそれ以上の傷を負っているカオルを抱きしめてあげられるようになる。
これが、この映画を通して描かれているリョータの人間的成長を象徴するシーンではないかと感じました。

ここに至るまで、リョータとカオルの二人が大切な存在を失って以降どのように日々を過ごしてきたのかを見る前に、まず二人の違いを見てみます。

まずそもそも、カオルの方が失ったものが大きいです。夫と息子をほとんど立て続けと言っていいほど数年間のうちに亡くしていることが、夫(リョータたちの父親)の葬儀後のソータとリョータの姿から推測できます。

夫(リョータたちの父)について、遺影からおそらく海に関する仕事なのかなと感じました。(海の近くで暮らす人は海が好きであるかや仕事に関係なく浜辺で写真を撮るものなのでしょうか。私は山育ちで感覚がわからないので、これは個人的な第一印象)

また、リョータの過去回想が完全にソータに関するもののみで、父親の姿がまったくないことも気になります(ソータがリョータにとって特別な存在であったことは確かだとしても)。
つまり父親とはそこまで一緒にいる機会がなかったのかもと考えると、また沖縄の漁業の状況からも、おそらく遠洋漁業に従事していたのではと考えられます。
ここから、夫もソータと同じように海の事故で突然亡くなったと推測することができます。

となると、後述する「海を見る」という行動がカオルにとってはより重いものになります。
リョータにとって海はソータとほぼ同義に描かれているが、(この仮説に基けばだが)カオルにとってはソータに加え夫の存在も重なっていることになりますから。

また、カオルはずっと結婚指輪をつけています。映画ではリョータの父親については仏間での回想シーンを除きほぼ言及されませんが、カオルにとって夫を亡くしたこととソータを亡くしたことは同じくらい重くのしかかっているということが窺えます。
(リョータにとってのソータのリストバンドとカオルにとっての指輪が対になっているのかもしれません)

次に、2人が夫/父親とソータを亡くしたあと、どのように過ごしてきたか。

カオルは神奈川に引っ越してきた当初と山王戦の夏に1人で海を見ているシーンが出てきます。沖縄の訛りも消えていません。
この2点から、カオルに神奈川での友人・知り合いはほとんどおらず、アンナ(とリョータ)以外とはほとんど会話をしていないことがわかります。
5年も経過しているにもかかわらずカオルの髪型も顔つきも変わっていないので、観客側からも時が止まっているようだという印象を受けるシーンでしょう。

一方、リョータ

「ソーちゃんのいない世界で、バスケだけが俺の生きる支えでした」

という「母上様」への手紙の言葉通り、自身の中のソータの記憶に縋るように(一時期を除き)バスケを続けています。

ここで重要なのが、バスケはひとりではできないスポーツだということ。もっとうまくなりたいと思うならば人と関わることは必須であり、バスケに打ち込みその過程で様々な人間と接する中で、リョータは身体的にも精神的にもどんどん成長していったのではないでしょうか。

また、人と関わるということ以上に、”仲間”という存在があったことも大きかったのだろうと思います。
1人では絶対勝てない相手でも、勇気を出して一歩を踏み出し、仲間を信じ、最後まで諦めなければ勝てることもあるのだということを、(すでにそれまでの経験で理解していたとしても)リョータは山王戦で身をもって実感できたのではないかなと思います。

 

そして同時に、バスケに打ち込んだことで「山王を倒す」というソータの夢を叶えることができました。
これはつまり、リョータの知るソータの夢、最終目的地に自分が到達してしまったということにもなります。

第ゼロ感の歌詞

霞んで消えた轍の先へ
それが最後になる気がしたんだ

にもリンクしているように思えますが、ソータが教えてくれた道標、つけてくれた轍はもうこの先にはなくなってしまいました。

でもリョータは、もう自分にはそれが必要なくなったこと、自分の意思で未来を選ぶことができるようになったということも分かったのではないでしょうか。
だからこそ、ソータの赤いリストバンドをカオルに渡すことができたのだろうと思います。

 

このリストバンドを渡すという行為はそのままバスケにおけるパスとつながっていると考えられます。
おそらくリョータが事故後沖縄に帰ってリストバンドを見つけたときや、それをつけて練習している時点ではこのリストバンドを自分以外の誰かに渡すなんてこと考えもしなかったと思います。(そもそもそのために隠していたのだし)
でもそれを、今必要な人に渡してあげる、パスしてあげられるようになったのは、過去を乗り越えたからこそでしょう。

 

また、ここは山王戦で三井にノールックパスを出すところとつながっているのではと思います。
過去を乗り越え、絶対に受け取ってくれると信じてパスを出す。
かつてたとえ一瞬でも兄を重ねて見た存在に暴行されたって、相当ショックを受けることだと思います。
resourceにもあったとおり、2人はそのとき本来の自分ではなかった。正直他人ならそんなの知ったことではないし行動のみで判断するところだが、彼らはそれを乗り越えて受け入れることができたのではないでしょうか。

だからこそ、あのシーンでリョータは三井が受け取ってくれると信じてノールックパスが出せたし、三井はリョータがパスを出してくれると信じてその地点まで走っていくことができ、スリーポイントを打つことができたのだと思います。

 

リョータがカオルにソータのリストバンドを渡すことについても、過去カオルがソータの荷物を処分したときの出来事から考えると、受け取ってもらえないものと考えるのが順当。

しかしソータとリョータの誕生日にカオルがソータのビデオを見ていたことを、カオルが本当はソータを忘れたくないということをリョータが知ったからこそ、今なら受け取ってくれるという確信を持って渡すことができたのではないかと思います。

 

ここでつら……となってしまうのが、リョータがビデオを見るカオルを後ろから見たとき、画面にソータしか映っていなかったこと。本当はリョータの小さい頃もちゃんと見ていて、そのかわいさに笑ったりしていたのに、タイミングが……
だからこそリョータは手紙を書き始めた最初に「生きているのが俺でごめんなさい」と書いたのでは。
(「あのとき釣りに行くのを止めて1on1を続けていれば」「あんな酷いことを言わなければ」という、ソータが帰ってこなかったことに対してリョータが責任を感じていることが要因として最も大きいとは思いますが)

ただここでのリョータがそれまでと違ったのは、誤解だったとしても『生きている自分ではなく死んだ兄を見ている母』を受け入れて、感謝の言葉を届けることができたこと。

 

リョータがカオルにリストバンドを渡したあと、カオルがリョータの腕を持って揺さぶるシーンが本当に好き。resourceに全部書かれているからここでは言及しないけど、母と息子の絶妙な距離感がすごくリアルだと思います。
カオルの「背伸びた?」という言葉も、こうして真正面から向き合えるようになるまでに本当に長い時間がかかってしまったことを表していて泣きそうになりますね……

 

ちょっとずれますがケーキを食べるシーンでリョータとカオルがアンナを介して会話していたり、リョータの書いた手紙の宛名が「母上様」だったり、それ以外にも全体通してほんっとうに「人間」というものに対する描写のディティールが細かい。笑 解像度が高い……
こういう要素が詰まっている映画とか舞台が個人的に大好きなんですけど、だからこそ感想書こうとすると考えることが多くてほんとに大変だしめちゃくちゃ長くなりますね……(それは自分のせい)

 

実況の感想(少しだけ)

・推しが褒められてるの健康に良すぎる……

三井寿褒められがちで実況を聴いて本当によかったです……!
木暮が花道と交代して入ってきたときにインサイド頑張ってる!とか、最後のスリーポイントよく走ってた!とか言われてました。

 

・まるで現実の試合を観ているような感覚になれてすごく楽しかった!

し、湘北と山王どちらについても解説してもらえてすごく嬉しかった…!
どうしても映画の構成上、湘南の活躍シーンが多いとは思うのですが。

 

・倒れた赤木をみんなで起こすところ、「いいチームですね!」と言われていてほんとにね…泣となった

 

リョータからのノールックパスからの4点プレーのところ本当に好きなんですが実況でもベタ褒めされててそうなんだよ〜〜〜て泣きそうになりました。泣

(誰もが流川に渡すと思っていたシーンでノールックパスを出し、受け取り、即スリーポイントに移ることができるという2人の信頼感と、あそこでノールックパスを出す宮城、すぐスリーポイントを打つ三井の2人とも度胸がすごい!というようなことを言われていた)

 

・一回だけでは全然覚えられなかったので後生だから円盤特典に入れてください(泣)

 

 

以上です!

上映終了から丸ひと月が経ちましたが、まとめてたらもう早速また観たくなりました……
円盤については「冬ごろ」とのことですが、告知がなのか発売がなのかも分からないのでドキドキですね。笑(作業はすでにされてるみたいですが)

 

2回以上劇場に足を運んだのも、応援上映に行ったのもザファが初めてでした!
普段そこまで映画を見るほうでもないのに、ここまでハマるとは……

スラムダンク」という作品がここまで多くの方に長い間愛されている理由が映画を観て分かったような気がします。

 

最後まで読んでくださってありがとうございました!