開演前の空気が好き

舞台中心の感想置き場です。

舞台『セトウツミ』感想 ─声なきSOSとそれを受け止めるスーパーヒーロー

 

舞台『セトウツミ』の初日5/27(日)ソワレを観劇してきたときの感想です。もう3か月経ってしまう…

イープラス貸切公演のためプラみちゃんがスペシウム光線を撃ってくれています。(違う)

 

公演概要

高校2年生の放課後。サッカー部を辞めて暇な瀬戸小吉と、塾に行くまでの時間を潰す内海想、
何故か気の合った二人のハイレベルな無駄話。
「この河原でただ喋るだけの青春があってもええんちゃうか」
河原に集う、瀬戸が片思い中の一期、瀬戸に片思い中のハツ美、何となくいる田中―。
ただただ面白いだけの時間が、何物にも代えがたい大切なものだったと気がついた時…。 

舞台『セトウツミ』|梅田芸術劇場

 

一言:すごかった!!
原作未読のため、以下舞台だけの感想です。

 

もはや芸術的とさえ言える彼らの会話を私たち観客は"川"として見届けるのみ。

最初は漫才かな?というくらいテンポの良い応酬をずっと見せてもらっているのだけど、途中ところどころであれ…?という瞬間が何個かあって、そして最後に怒涛の伏線回収と物語が動いていく感じが最高だった……

 

あとほんとに、演劇見ててこんなに爆笑したことないわってくらい笑いました笑
観終わって席を立とうとしたときほんとに腹筋が痛くてしんどかったです笑

 

以下ネタバレあります!
&偏りあります!

 

 

 

 

 

内海の甘え

内海がだんだんと瀬戸に甘えていくさまがたまらなかった……
何でも否定から入る人おるよなの回(うろ覚え)なんか特に、それまでのただツッコミどころ満載すぎて突っ込まずにはいられないとか面白い返しをしてやろうとかを超えた、「こいつなら何言っても許してくれる」というような方向性の甘えが見えたような気がしてぬおお…となりました。

 

声なきSOS

内海はずっと会話を通して「助けて」って言っていたんだな、と後から振り返れば思うのだけど、それをきちんと読み取って包み込んで救った瀬戸の優しさが見えてすごくよかった。
一見瀬戸の方が子供っぽく内海の方が大人びて見えるけど、本当は逆なところが面白いところですね。

 

内海の心

内海の独白から始まる例のシーン、それまでド漫才だったのに急に落ちる、のに違和感がなくて普通についていける上、父に「褒めてくれたっていいやないか」って叫ぶシーン(ここ観ていて本当に泣きそうになった)でほんとに泣いてるのが、牧島輝やっぱすごいと思いました。

それは↑で書いたように、ただ漫才のような軽快なやりとりをしているだけのではなくその奥にある内海の心をずっと持っているからこそだったと思う。むしろ、そうでないと観客にまでこんな感情を持たせることなんてできないはず。
あんなに台詞量膨大でしかも慣れない大阪弁なのに、そして初日の2公演目なのに笑ここまで仕上げてくるのさすがプロ… プロだから当たり前と言ったらそれまでかもしれないけど、そんなに簡単なことじゃないから純粋にすごいなあと思う。
やっぱりこの部分もこの2人だからできたというか、息の合わせ方みたいなのがすでにわかってるからすぐにその先に行けたんじゃないかなと勝手に思っている。笑
…とはいえやっぱり慣れない言葉でのあのテンポのやりとりっていうのも考えるとすごいとしか言いようがない…

 

色の演出

初めて父に反抗したシーンからそれまでモノクロだった背景に色がつくの、すごくいい演出だなと思った。瀬戸によって色づいた世界……1人の人間としての人生がそこから再び始まったのだと考えると、内海にとっての瀬戸の存在の大きさを感じる。

 

ラストシーン

最後、あの時間はなくなっても、成り行き上じゃなくても、2人は自分から連絡とってコミュニケーションできるようになったんだなということがわかってじーんとした。

 

俳優さんたちについて

…それぞれ書こうと思ったけどメモ見返したらこのお二人分しか書いてませんでした泣
その分このお二人の印象が強かったんだと思ってください…

・佐藤日向さん/樫村一期・ハツ美役
すごい!ハツ美ちゃんのときのイントネーションから河内弁ネイティブかなと思っていたけど、帰り道いざ調べたら全然違う新潟出身とのことで本当にびっくりしました笑
ラブライブやレヴュースタァライトの声優さんと知って納得!音取りがうますぎる。非ネイティブあるあるの、長台詞の途中でイントネーション迷子になって平坦になるみたいな瞬間が一切なかった。たぶんぜんぶ歌みたいにして覚えてるんだと思う、出演作からも相当歌うまだろうなと思うので。
ドスの効いた声とかもさすが声優さんという感じでした。笑 個人的にMVP選ぶとしたら佐藤さんかなと思う!

・納谷健さん田中真二
すごかった笑笑
場を支配する力が凄くある俳優さんが揃ってる舞台だったけど、その中でもそういったシーンが一番多かったと思う。完璧に田中として、この作品においてはある意味異質とも言える語り手としての役割を全うしていた。
こわいのが私たちの見た回が初日の2公演目だったということ!完成度が高すぎて信じられないし恐ろしかったですね…笑

 

 

以上です。

最初の方にも書いたけど、これ以上ないってくらい笑って泣いた2時間でした。
これほど1作品中で感情が乱高下した舞台って初めてだったかもしれません。

 

最後まで読んでくださってありがとうございました!